眼瞼痙攣に対するボトックス注射は 脳に影響します
眼瞼痙攣の原因は脳にある、と考えられ、数多くの研究が行われています。その中にあって、医学雑誌
Frontiers in Human Neuroscience 誌の2017年5月号に、正常者25名と眼瞼痙攣25名を厳密に検討した研究発表がありましたので、ご紹介します。
中国、大連大学の医師が執筆した Multiple Neural Networks Malfunction in Primary Blepharospasm という題の論文で、機能的MRI ( functional Magnetic Resonance Imaging )の手法を用いて、脳内の部位の間に存在するネットワークを分析しています。(上記英文でネット検索すると、論文を無料で読むことができます。)
これまでよく見られた、脳内部における局所に注目し、その部位の活動が亢進している、低下している、という研究ではなく、部位と部位の間のネットワ-クが亢進しているか、低下しているか、を研究したところが、注目に値します。
青い部分が、低下しているネットワークで、橙色が、亢進しているネットワークです。
また、瞼を指で動かすと、一時的に瞼が開きやすくなる Sensory Trick という有名な現象がありますが、そのときにも、ネットワークの亢進が確認されます。
橙色が、ネットワークの亢進を表しています。
さらに、ボトックスを注射したあとに測定してみると、ネットワークに変化が生じることが確認され、ボトックス注射は、注射局所に作用するだけではなく、脳内部にも影響を及ぼしている可能性を示しています。ボトックス注射とは、細い針で、少量の薬液を注入するだけの手技ですが、かなり複雑なことが、起きているようです。